今回は生体(魚やエビなど)の水合わせ時におすすめの【点滴法】のやり方を紹介します。
まず前提として【水合わせ】を理解しておいて下さい。
【水合わせ】とは、ショップなどで買ってきた生体を自分の水槽に入れる時、生体がショックを起こさないように、自分の水槽の水に慣れさせる事を言います。
人間でも同じですが、季節の変わり目など気温差が激しい時に体調を崩しやすいですよね。それは生体も同じで、アクアショップなどの水槽で過ごしていた環境(温度、水質)と自分の水槽の環境(温度、水質)が極端に違う場合、最悪自分の水槽に入れた途端にショックでそのままお亡くなりになる事があります。また、元々弱っている子の場合、その時は大丈夫そうに見えても、そのストレスから徐々に弱ってしまって病気にかかりやすくなったりしてしまいます。
そんな危険を無くす為に生体導入時には必ず【水合わせ】を行って下さい。これはアクアリウム・自然を愛するアクアリストとしての務めです。なるべく生体にストレスをかけず導入する事でその後も健康な飼育が可能になります。
ではここから、生体に与えるストレスが最も少ないと言われる【点滴法】での水合わせを紹介します。
まずは道具を揃えます!(これで実際にヤマトヌマエビ15匹の水合わせを行いました。)
・バケツ
生体を入れる為の器として使用します。プラスチックの容器などでも構いませんが、バケツの方がヒーターも入るので楽です。
・ヒーター
水槽内の水温とバケツ内の水温を合わせる為に使用します。点滴法で水合わせをしている間、水槽の温度とバケツ内の温度が異なってくると思います。点滴法で水合わせをした後にプラスチック容器などに移し、それを水槽に浮かべて温度合わせをしても構いませんが、生体の移動をなるべく減らし、なるべくストレスを与えたくないので水合わせをしながら温度も同時に合わせます。
・チューブ
水槽内の水をバケツに入れる為のチューブです。片方を水槽内に、片方をバケツに入れます。
・キスゴム
チューブにつけて使用します。水槽内での固定、バケツ内での固定に使います。
・一方コック
点滴法を行う為のの最重要部品です!コックをひねることにより、水を通したり、せき止めたりする事が出来ます。この部品で点滴法を実現します。
点滴法に必要な一式が揃った“水合わせキット”なるものもあります。
道具が揃ったらいよいよスタートです!
①購入した生体を袋の中の水ごとバケツに移します。※この時にバケツは生体を導入する水槽の近く、そして水槽よりも低い位置に置いて下さい。(後述のサイフォンの原理を利用する為)
②チューブの片方を生体を導入する水槽内にキスゴムで固定します。※チューブから稚魚など余計なものを吸い込まないようエアストーンを付けても構いません。
③チューブのもう片方に一方コックを取り付けます。※まだ水が来ない為、コックは水が通る状態にして下さい。
このように排出口と同じ方向をコックをひねると、水が通ります。
このように排出口に対して90度コックをひねると水は出ません。
④水が通るようになっているコックに口をつけ、チュッと軽く吸い込み【呼び水】をします。※抵抗がある方はスポイトなどで吸っても構いません。
サイフォンの原理(水が高いところから低い所へ流れる)により水槽内の水がバケツに流れてきます。
⑤コックを閉めながら点滴のように水が落ちる部分に調整します。※水の落ちるスピードは生体により合わせるのが吉とされています。生体がデリケートなら1秒1滴、丈夫なら1秒2滴など。
⑥水位が上がってきたらヒーターをつけます。※アクアショップなどで購入した時に袋に入れてもらう水はそんなに多くありません。ヒーターが空気に触れる状態で電源を入れると故障する恐れがありますので、必ずヒーターが水に浸かっている状態で電源を入れて下さい。
⑦元の水の量が2~3倍になるまで続けます。※不安な方は5倍になるまで続けるとより安全です。
⑧⑦の条件が満たされ、水槽内の温度のバケツ内の温度が合ったら準備OKです!ネットで生体をすくい、水槽内に入れて下さい!!
僕はこのやり方(2時間くらい点滴をしました!笑)でヤマトヌマエビ15匹を水合わせし、無事、1匹も落とすことなく水槽へのお引越しが出来ました。(ヤマトヌマエビは往々にして水が合っていないと苦しそうに暴れまわります。)
点滴法はどうしても時間が掛かってしまうのがデメリットですが、せっかく買ってきた可愛い生体にダメージを与えるよりはマシです。余裕を持ってゆっくり水合わせをしてあげて下さいね。
<導入時の様子>
このように降り立ってすぐコケを食べています!くいしんぼう!笑
生体に優しい水合わせ【点滴法】で安全で楽しいアクアリウムを!